病院で産んだ子は愛しにくい

 「病院で産んだ子は愛しにくい」。上田市でバースセンター設立を訴える「安心してお産と子育てができる地域をつくる住民の集い」のメンバーのほとんどは、病院と助産師によるお産を経験している女性たち。彼女たちが口をそろえるのは病院出産に対する不満だ。
 助産師による自然分娩を積極的に取り入れている「上田市産院」(同市常磐城)で、出産を経験したことがある同市の武田千秋さん(29)は、「安心感が違う」と利点を強調する。助産師の出産は、分娩台に乗せられず、恥ずかしい格好をさせられたり、苦しい体勢を強いられることがない。また陣痛促進剤を使われるなど医療行為もないという。病院での出産とは異なり、出産で最も重要な「精神的な負担が軽減された」と話す。

いやー、毎日新聞凄いなあ……………。

しんそう−深層・真相・心想:解説編 上田でバースセンター設立運動 /長野
 ◇「産み方」選びたい

 上田市の住民を中心に、助産師が主体となってお産を担う「バースセンター」(助産院)の設立を訴える運動が熱を帯びている。産科医が不足している現状に加え、「お産という人生の一大事にあって、『産み方』の選択肢を増やしたい」という母親たちの切なる願いが運動の背景にあるようだ。【川口健史】

 「病院で産んだ子は愛しにくい」。上田市でバースセンター設立を訴える「安心してお産と子育てができる地域をつくる住民の集い」のメンバーのほとんどは、病院と助産師によるお産を経験している女性たち。彼女たちが口をそろえるのは病院出産に対する不満だ。

 同市の主婦、斉藤八重子さん(31)も病院出産と、助産師出産の両方を経験した。東京都内の病院で最初の子を産んだ時の経験は今でも鮮明に覚えているという。「分娩(ぶんべん)台にあおむけで乗せられ、機械的に処理された。子供が生まれてもすぐに引き離され、苦痛だけが記憶に残った」

 助産師による自然分娩を積極的に取り入れている「上田市産院」(同市常磐城)で、出産を経験したことがある同市の武田千秋さん(29)は、「安心感が違う」と利点を強調する。助産師の出産は、分娩台に乗せられず、恥ずかしい格好をさせられたり、苦しい体勢を強いられることがない。また陣痛促進剤を使われるなど医療行為もないという。病院での出産とは異なり、出産で最も重要な「精神的な負担が軽減された」と話す。

 住民グループの副代表、桐島真希子さん(32)は、病院と助産院との出産のすみ分けを図ることが必要と力説する。桐島さんは「緊急度が高く難しいお産は病院に。安全な自然分娩を望む人は助産師による出産を選ぶことで、医師不足問題も解決するし、お産に対する恐怖心も薄れ、少子化対策にも役立つのではないか」と指摘する。

 日本助産師会によると、県内の助産院は長野市須坂市松本市など数カ所しかない。一方で県内でお産を取り扱う産科施設は49カ所。病院での出産が圧倒的多数を占める。多くの妊婦にとって「助産院での出産」という選択肢が用意されていないのが現状だ。

 住民グループでは、9月からバースセンターや、院内助産院の設立を求める署名活動を展開している。今月末には県や上田市に請願書を提出する予定だ。助産師を活用する出産に積極的な上田市産院の広瀬健・副院長も「産前産後の周産期の母親のケアに有効であることと、医師の負担が軽減でき、重症度の高い患者に向き合えるようになる」と利点を強調した。

毎日新聞 2007年11月18日