そもそも医療問題に関心を持ったのは

社会における専門技術職の地位、あるいはマスの層から見た専門技術職への対応等々に疑問があったからなのでした。
科学・技術に対する一般の無理解、例えば「血液型占い」やら「あるある」、あるいは「水からの伝言」やらの疑似科学への
社会の無理解といったところが根底に違和感あるいは問題点として感じていて、
社会構造の問題点が、医療にもしわ寄せがいっている、という風に感じていたのです。

例えば、医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何かについて、昔こういう感想文というか駄文を書いた。

昔の日記とか、
更に昔の日記でも書いたので、
再々掲くらいになるけど、社会全体での技術に対する無理解、というフレームワークは変わっていないと思う。

社会制度の問題点に切り込んだ好著
専門的な職種における過誤の調査およびその処罰を警察がやっていいのか?

怖るべきことに、この国では、合理性に敵意を示し、感情論を隠そうとしない非専門家が、権力を持つようになってきた。非合理と感情論をまとめあげ、見える形にして、政治的権力を持たせているのがメディアである。

とある。

感情論に流されてしまい、本当はどういう姿にすると当事者がハッピーで持続可能なのか、という視点が日本に育たないのは何故だろう。
なぜ社会システムを持続可能な形にデザインしないんだろうか。

医療に限らず、たとえば航空機事故において機長に刑事罰を負わせるだけでシステムにおけるリスクやエラーの追求をしない。これによって起こりうる損失は大きいと思うのだが、何故かそこを指摘する声は大きくない。

いろいろと考えさせる好著。医療者や、あるいは医療を受ける立場の人だけでなく、専門的職種にある人すべてに興味深い示唆を与える好著。