たらいが回りすぎて都内から栃木に搬送

今後増えるんだろうなあ、こういうの。

連載記事らしいが、医師叩きの一環なのかそれとも正気に還った記事を書くのか。
前者だろうなあと思いつつも、少し後者を期待するところが甘いんだろうなあ。

産科医絶滅史53巻〜産科、日本無過失はなし〜
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/hosp/1201746706/337

337 :卵の名無しさん : :2008/02/06(水) 12:05:35 ID:19TrGTGv0


妊婦の受け入れ、31回「不能」の事例も
お産崩壊
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20080206ok03.htm



 妊婦が病院に受け入れてもらえない事例が相次いでいる。ベッド数の不足などから、今や日常的に起きている問題だ。
安全・安心な暮らしが脅かされている実態を取材し、その原因を探っていく。

◆東京から栃木へ、ようやく入院
 東京都内に住む公務員の大西明実さん(34)は昨年6月、妊娠6か月の時に破水してしまい、31の医療機関から受け入れを断られた。
 仕事を終えて帰宅しようとした時、出血に気づいた。かかりつけの産科医を受診すると早産の危険があるという。
まだ500グラムほどしかない赤ちゃんは、生まれてしまえば命にかかわる。
 赤ちゃんが生まれた時のために、NICU(新生児集中治療室)があり、母体管理も可能な医療機関を、かかりつけ医は探し始めた。
午後6時半だった。だが、どこも満床で受け入れてもらえない。大西さんの病室には、医師が必死に電話をかける声が響いてきた。
「本当に危険な状況なんです」「何とか受け入れてもらえませんか」
 この出産はだめになってしまうのだろうか。大西さんは頭の中が真っ白になった。
 夜10時近くになって、医師が病室に来て言った。「32か所目で、やっと見つかりました。これから栃木県へ搬送します」。
行き先は独協医大病院(壬生(みぶ)町)だと告げられた。


338 :卵の名無しさん : :2008/02/06(水) 12:06:35 ID:19TrGTGv0


>>337続き
■ □
 なぜ栃木なんですか。東京には病院がたくさんあるじゃないですか。東京じゃだめなんですか――。色々な思いが噴き出したが、
医師は「栃木に行かなかったら、この子の命は助からないかもしれない」と言う。心細くて不安な思いを何とかおさえ込んだ。
 3歳の長男と夫を東京に残して、大西さんは栃木まで1時間半の道のりを救急車で運ばれた。かかりつけの医師が同行し、
救急車の中で「眠れたら眠って下さいね」と声をかけてくれたが、とても眠れなかった。病院に到着したのは深夜0時過ぎ。
内診や一通りの検査を済ませて病室に入った時には、午前3時を回っていた。ベッドに入っても、やはり眠れなかった。
 翌日、病室で一人、涙が出てきてしまった。長男は大丈夫だろうか、仕事はどうしよう、この入院はいつまで続くのだろう……。
看護師が話しかけてきた。「こんな遠くに連れてこられて、泣きたくなっちゃうよね。泣いていいのよ」。声を出して泣いて、
ようやく落ち着いた気がした。
 独協医大病院には約1か月間入院し、体調が安定してから東京都内の病院へ転院した。勘太ちゃんが1700グラムで生まれたのは8月中旬。
成長した勘太ちゃんを胸に抱き、大西さんはつくづく思う。「私の場合は何とかバトンをつなげてもらい、無事出産することが出来た。
でも、妊婦の誰もが、いつ行き場を失ってもおかしくないということを、思い知らされました」


339 :卵の名無しさん : :2008/02/06(水) 12:07:36 ID:19TrGTGv0


>>338続き
■ □
 昨年8月、奈良県橿原市で救急車を呼んだ妊婦が9病院に受け入れを断られ死産した問題で、にわかに注目を集めるようになった
妊婦の“たらい回し”。それは決してひとごとではない。特に大都市周辺では、ひとたびお産の異常が見つかれば、何時間も
行き場が決まらないことがあるのが今のお産現場の実情だ。
 首都圏の大学病院の医師も昨年、同じ事態を経験した。
 年末、早産の妊婦の受け入れ要請が隣接地域の病院からあったが、NICUは既に満床状態で、とても受け入れられない。
医師は首都圏の病院30か所以上に打診してみたが、どこもいっぱいで断られ、「全滅」だった。
 結局、早産の妊婦は約300キロ・メートル離れた長野県内の病院に救急車で搬送された。「これが“たらい回し”の実態。
医療機関ががんばって、いろいろなところに無理をお願いして、日々をしのいでいるんです」。医師は訴える。

早産救える施設足りず
 妊婦の受け入れ先が見つからないことを“たらい回し”と表現されることに怒りを持つ産婦人科医は多い。
「医師の都合でたらい回ししているのではない。今のお産施設は、受け入れたくても受け入れられない状態に陥っている」
と都内の産科医は訴える。

◆過労、訴訟…減る産科医
 総務省が昨年秋にまとめた調査では、救急搬送されながら病院への受け入れを1回以上断られた妊婦は、2006年1年間で2668人。
10回以上断られた例があったのは北海道、宮城、埼玉、千葉、東京、大阪、福岡の7都道府県と、一定地域に集中していた。
ただ、これは救急搬送開始後の数字で、救急搬送する前に医師が受け入れ先を探して断られた回数はカウントされていない。


340 :卵の名無しさん : :2008/02/06(水) 12:08:36 ID:19TrGTGv0


>>339続き
■ □
 “たらい回し”の原因は、一つではない。
 早産などリスクの高い妊婦を受け入れるために必要なNICUは、満床状態がほとんどだ。救急搬送の問題がクローズアップされる中、
医師の間では「搬送先探しは産科が一番大変だ」と言われる。
 医療現場の産婦人科医は年々、減り続けている。中堅、ベテラン医師が過酷な労働を強いられる分娩から撤退し、
自らの出産・育児で現場を離れる女性医師も増えているからだ。
 不測の出産があり得る産科医は24時間態勢。月数回の当直があり、命を直接預かるという重圧もある。
 心身共に疲弊している産科医に追い打ちをかけるように、訴訟リスクも高まっている。重大な事故が起きれば、
産婦人科は他の科に比べて民事訴訟に訴えられる割合は高い。一昨年には、福島県の県立病院の産科医が
帝王切開の手術を巡って刑事訴追された。
 責任の重さと過重労働からうつ状態に陥った、ある産科医は「忙しいうえに、訴えられる可能性もあるのなら、
産科医が現場から離れていくのも理解できる」という。
■ □
 医療現場の混乱に拍車を掛ける妊婦もいる。妊婦健診をほとんど受けないまま、出産間際になって病院にやって来る未受診妊婦だ。
こうした「飛び込み妊婦」は、健康状態や出産予定日が把握できないため、早産や死産などのリスクが高まる。
 そもそも「飛び込み」で来られても、ベッドは空いていない。都市部などでは、受け入れたとしても、
次に救急搬送されてくる妊婦の行き場がなくなり、そして妊婦搬送の迷走が始まるという構図がある。
 「我が国の産科医療体制は、地方、都市部を問わず崩壊の危機にある」。日本産科婦人科学会が先月末までに、
都道府県知事への文書でそう現実を訴えた。お産の現場の窮状に、福田首相は1月の施政方針演説で
「勤務医の過重な労働環境や産婦人科医師不足の問題に対応する」と明言するなど、国も重い腰を上げ始めている。

(2008年2月6日 読売新聞)