静岡厚生病院事件その後

僻地の産科医先生のところに「関係者」さんのコメントを集約していた。


病院での異常死の司法解剖に関連する対応はもーちょっと何とか改善する余地がありそうだなあ。
今までまじめに考えたことなかったけど、行政解剖司法解剖の周辺についてちょっと調べてみようかしら。

医療者との齟齬いろいろ


何点か違和感があったので、率直に書いてみる。

死因が判明するまでは、時間がかかるでしょうから、
これ以上憶測で死因を探ることはなんら意味をなさないと思います。

遺族の方が心のケアを行える場所はどこかあるのでしょうか?
そういった情報を提供できたらとおもいます。

それと遺族の方の名誉を守る上では、どうして刑事事件に
なったのか、マスコミに正しく報道してもらうことが必要だと思います。
今のままでは、遺族の方の訴えた理由が正しく伝わっていないと
思います。

遺族関係者の方は再度正しく報道してもらうよう、マスコミに
働きかけるべきと思います。

一番の問題は病院であり、産婦人科学会とかでしょう。
特に院長の対応で全国の産科医療崩壊となれば
社会的損失は大きい。
あねは事件と同じように社会的に大損失を招きます。

再度、会見を開き、誤解なきようにすべきと考えます。
まず担当医師が遺族に謝罪することが最優先だと思います。
たとえ、病死であっても、一切過失がなくても
頭を下げるべきだと思います。
そのくらい医師の社会的立場は厳しいものだと考えます。

反論も多数あろうかと思いますが、それが担当医師の
ためにもいいと思いますが・・・

今なら、まだ修復がはかれると思います。

投稿: 一般市民 | 2008年5月 4日 (日) 12:12


ちょーど書き終わったら消え、書き直したら消え、もう一回書き直したら更に消え、
ヤケクソになって 4回書き直したのでアップします。

「ソフトランディングするといいですね」とは思っているのですが、まあ、その、思ったことを率直に書いてみます。

医師の厳しい社会的立場について

当方は医学、医療、薬学とは関係が無く、親類縁者も関係ないです。
当方にとって一番いいのは医療者の人数が増えて、医療者の報酬はそのまま、アクセスそのまま、医療費は適度に上昇というのが一番好ましいシナリオで、「医師の報酬が増えると当方が直接嬉しい」ということは全くありません。


というような前置きをした上で書きますが、産科医が年収3000万、一分娩200万払っていれば厳しい社会的立場を追求する余地があろうかなあと思います。
実際には年収1500万ちょとで超・超過労働をしていて時給換算で3000円程度、週100時間労働、一分娩40万程度かしら。


ちょっとこれでは「厳しい社会的立場」を追求するのは厳しいかなと思う。
すると「支払ったなりの応対しかできない(する余地、余裕、余力がない)」というのが現状かなあと思慮する次第です。

原因追及について

原因追及を自粛しても他の妊婦は何も得しないんじゃないかなあ。
次に分娩する人が同じリスクを抱え続け、「同じ悲劇を繰り返さないように」という点からは正反対を向きそうな感じ。


紛争をうまく勝ち残る戦術とか、法律的、刑事的な方針としては、原因追及をオープンな場ではやらないという手はあるのだろうなあと思う。
しかし、科学的、、医学的、医療的、生物的、技術的、その他知的興味からは原因追及を行うことにより、同じパターンの事象を乗り越えることになって、結果として他の妊婦、次の分娩の安全性に貢献するんだろうなあと思う。

報道について

紛争が起きた場合に、一方だけの言い分を掲載するのは確かにアンフェアだろうなあと思うが、
もっと言えば、判決が出るまでどちらの片方の言い分も掲載するのは意味がないんじゃないかなあと思う。
もちろん事実を主張できる根拠があることについて掲載するのはいいが、それ以外の感情的主張について掲載することはあんま意味がなさそう。


大淀病院事件のお涙ちょうだいは勘弁して欲しいと思うが、
さりとて遺族側が根拠のあることを主張するのもなかなか難しいと思われるので、
「じゃあどんくらいマスコミが主張を掲載すればいいのか?」と聞かれると難しい。

その他

焼け野原待望論者ではないのだけれども、と前置きした上で。

今回の件で訴訟を起こすと一気に焼け野原になるのだろうなと思う。
どんどん医療機関の撤退が進み、萎縮医療も広がるのだろうなあと思う。
アクセスがどんどん悪化し、受益者側の意識がそれなりの速度で変わるんだろうなあと思う。が、希望的観測かもなあ。
病院が反省するとかそういうのとは全く違うベクトルに事象は動くだろうなあと思うが、まあ、医療者と受益者の関係は激しく変化するんだろうなあ。


一方、今回の件で訴訟を起こさないと野火がくすぶったままジワジワ焼けていくんだろうなと思う。現状維持路線ではあるが、まあ、報道されたことでいろいろ影響は出るんだろうなあ。

どっちがいいのかはよく分からないが、グズグズ燻って戦力がどんどん削られるよりは、一気に炎上した方がまだ潜在戦力残っていいかもなあという気がする。


以前にも、当方の日記のコメント欄に書いたことがありますが、妊娠出産に関して女性が幸せになって欲しいなあと考えていて、
全体としてどーすると幸せになるのかなあというところに関心があります。
もちろん今回の厚生病院の出来事はたいへん痛ましいことですが、
一方で一定の確立で妊婦が命を落とすことを克服出来ている訳ではないという現実もあり、
今回の死で厚生病院が産科から撤退したりすることなく継続して活動していってくれるといいなあと妄想しています(別に静岡の医療とは縁がないんですけど)